G.W.F.ヘーゲル『精神現象学』1807年への入門
Introducing to Phänomenologie des Geistes, 1807
Georg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831
☆課題書:ヘーゲル『精神現象学』入門 / 長谷川宏著, 講談社 , 1999 . - (講談社選書メチエ, 153) ☆テキスト:精神現象学 / G.W.F.ヘーゲル [著] ; 長谷川宏訳, 東京 : 作品社 , 1998.3 |
☆課題書:ヘーゲル『精神現象学』入門 / 長谷川宏著, 講談社 , 1999 . - (講談社選書メチエ, 153)
☆テキスト:精神現象学 / G.W.F.ヘーゲル [著] ; 長谷川宏訳, 東京 :
作品社 , 1998.3
★【書物案内】1807年に出版された『精神現象学』は、哲学者ゲオルク・ヴィルヘル
ム・フリードリヒ・ヘーゲルの最初の主要著作である。これは彼の科学体系の最初の部分を表している。「現象学」は、「実在科学」である「自然哲
学」と「精
神」の哲学に続くものとなる。この『精神の現れ方の科学(=精神現象学)』において、ヘーゲルは精神の単純な素朴な知覚から意識、自己意識、理性、精神、
歴史、啓示、そして最終的には世界精神の絶対的 な知識に至るまでの精神の昇華を展開している。
その際、彼は科学の発展を内容と方法の統一体として、また精神の現象を自己実現として、存在と無の統一体として、そして絶対的な全体として考察している。
真理の場所は、科学的体系における概念であり、見解ではない。真理の知識は、主観と客観の間の対立が弁証法的により高いレベルで保留されるという洞察にあ
る。なぜなら、一方は他方なしには存在しないため、2つが1つの統一体を形成するからである。『精神現象学』はヘーゲルによる最初の典型的な著作と考えら
れており、後にヘーゲルは繰り返しこの著作に言及している。この著作において、ヘーゲルはそれ
まで自身を悩ませていた重要なテーマを体系的に詳細に説明しようと試みている。その際、ヘーゲルは当時の哲学論を支配していた立場、すなわち
イマヌエル・カントの二元論、ヤコビの即自性哲学、シェリングの同一哲学などである。この著作は当初、ヘーゲル自身の哲学体系の体系的な入門書として構想
された。最初の3部(意識、自己意識、理性)は後に、主観的精神の第二の局面として、百科全書(1817年)の体系に簡略化された形で盛り込まれた(→「ヘーゲル『精神現象学』1807ノート」)。
★ヘーゲル『精神現象学』入門 / 長谷川宏著, 講談社 , 1999 .
- (講談社選書メチエ, 153)
第1章 『精神現象学』のむずかしさ |
若いヘーゲルの気迫と気負い(6) |
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「誕生の時代」のなかで(8) |
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時代の総体と思想的に対決する(10) |
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ヘーゲルの矛盾(12) |
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ロマン主義批判と異端の覚悟(14) |
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スピノザへの索引と反発(17) |
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否定・分裂・対立の重要性(19) |
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安定した円に近いスピノザの世界
(21) |
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主体こそが真理である——ヘーゲルの世
界観の確信(23) |
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分裂は忌むべきことではない(24) |
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ヘーゲルとアドルノの弁証法(26) |
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はげしく動く現実、はげしく動く哲学
(28) |
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第2章 意識の根本性格 |
ヘーゲルの主体の思想(34) |
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手さぐりの旅(36) |
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意識の強靭な否定力(38) |
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宿命としての不安(40) |
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たえず自己と世界を超えて(43) |
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意識は外からはながめられない(45) |
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意識は運動しつづける(47) |
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徹底した現実家ヘーゲル(50) |
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絶対の真理はどこにあるか(52) |
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意識の経験は後戻りできない(54) |
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古い経験をふくみつつ、新しい経験は進
行する(57) |
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第3章 地図のない知の旅 |
絶望の道(62) |
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『精神現象学』という旅(64) |
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ヴィルヘルム・マイスターの旅(67) |
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意識のなかを経験が通過する(69) |
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万人が私であり、私が万人なのだ
(70) |
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古代ギリシャのポリスが意味するもの
(72) |
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ファウストとグレートヒェンの恋
(74) |
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引き裂かれたヘーゲルの思考(77) |
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「群盗」の世界(79) |
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心の掟が現実の掟となるとき(81) |
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万人の万人に対する闘い(84) |
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ドン・キホーテの人物像(86) |
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地図のない旅(89) |
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逆流する歴史(91) |
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歴史の森に足を踏み入れて(92) |
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第4章 知の旅程(意識・自己意識・理
性;精神の種々相;宗教から哲学へ) |
1. 意識 | |
【1 感覚】 |
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裸の意識と裸の対象がむきあう(97) |
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ただあるということ(100) |
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「このもの」から一般的経験へ(102) |
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【2 近く】 |
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「このもの」から物へ(104) |
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物の外へ(106) |
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【3 科学的思考】 |
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力のたわむれ(108) |
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カントと物自体の世界(111) |
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現実界と内面世界(113) |
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数理を嫌ったヘーゲル(116) |
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【4 生命】 |
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運動体としての生命(118) |
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根本衝動としての欲望(121) |
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人と人との関係のありようを問う(122) |
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【5 自己と他者】 |
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2つの自己意識がむきあう(124) |
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生死をかけた闘争(127) |
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主人と奴隷の弁証法(129) |
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不幸な意識における内部分裂(132) |
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【6 理性という境地】 |
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幸福な理性(135) |
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理性は自在に世界と交流する(136) |
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2. 精神の種々相 | ||
【1 理性から精神へ】 |
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観察する理性(139) |
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共同体にやすらう意識(141) |
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共同体に亀裂が生じる時(144) |
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【2 古代ギリシャの共同体】 |
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精神は共同体からうまれる(145) |
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精神は意識化される(146) |
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ヘーゲルがあこがれた古代ギリシャ(148) |
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人間の掟と神の掟(151) |
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【3 古代ローマの反共同体】 |
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ローマ——精神なき共同体(154) |
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人間の自然なすがたとは(155) |
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権力が諸個人を統合する(156) |
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【4 疎外と教養】 |
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二重の対立・矛盾(159) |
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教養が個人に社会性を与える(162) |
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高貴な意識と下賤な意識(165) |
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社会批判の目(167) |
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教養の深まり(169) |
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【5 啓蒙思想とフランス革命】 |
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啓蒙と信仰の対決(170) |
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フランス革命とキリスト教をともに肯定する(173) |
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教養の俗臭と革命の血なまぐささを越えて(175) |
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【6 道徳】 |
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自由な内面をいかに確保するのか(177) |
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堂々巡りをおわらせる(179) |
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カントをさらに越えて(181) |
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美しい魂の弁証法(183) |
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3. 宗教から哲学へ | ||
主人公は集団の意識(186) |
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【1 自然宗教】 |
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古代オリエントの宗教(188) |
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ピラミッドとオベリスク(190) |
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【2 芸術宗教】 |
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芸術と宗教の一体性(192) |
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芸術作品の3種類(195) |
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ギリシャの神々(197) |
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【3 啓示宗教】 |
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新しい思想としてのキリスト教(199) |
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キリスト教の独自性(200) |
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無垢であっても善ではない(202) |
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原罪神話を読みかえる(204) |
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神と人の本性はおなじ(204) |
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イエスの脱神格化(207) |
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【4 絶対知】 |
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知の光がすべてをおおう(209) |
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永遠の運動としての学問(211) |
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第5章 思考の奇怪さについて |
足もとをゆさぶられる問い(216) |
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老いを知らぬ新鮮な思考(218) |
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ドイツ観念論をつきぬけるヘーゲル(221) |
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ヘーゲルの戦闘宣言(223) |
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同時代人の無理解(225) |
||
驚くべき巨大な知的好奇心(227) |
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注(230) | ||
ブックガイド(231) |
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あとがき(233) |
☆︎【ヘーゲルリンク】
☆【精神現象学リンク】︎
★1807 イエーナ大学閉鎖。『バンベルク・ツァイ トゥンク』の編集者となる。『精神現象学(Phänomenologie des Geistes)The Phenomenology of Spirit』あるいは"Phenomenology of Mind"を刊行
1812-1816 大論理学 (Wissenschaft der Logik、1812-16年)
Phänomenologie
des Geistes |
Hegel’s
Phenomenology of Mind |
(テキストプロジェクト→ヘーゲル『精神現象 学』1907) |
***
★
The Preface | 序文 |
アレクサンドル・コ ジェーヴ『ヘーゲル読解入門』を読む 「想念〔思いこみ〕というものは、とかく真と偽の対立を確固として動かないものと考えてしまいがちであるが、そうなればなるほ ど想念〔思いこみ〕は現存の 哲学体系に対し賛成か反対かのいずれかを期待し、この体系について説明するときには、賛否のいずれかだけを見るのが普通である」——精神現象学(樫山訳)(→ 序文) |
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Introduction | はじめに |
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A. Consciousness | I. Sense-Certainty, This, & Meaning | A.意識 I. 感覚的確信、これと、その意味 |
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II. Perception, Thing, & Deceptiveness | II. 近く、物とその錯覚 |
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III. Force & Understanding | III. 力とその理解 |
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B. Self-Consciousness | IV. True Nature of Self-Certainty | B. 自己意識 IV. 自己確信の真理 |
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A. Lordship & Bondage | A.支配と隷属 |
(→主人と奴隷の関係) |
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B. Unhappy Consciousness | B. 不幸な意識 |
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C. (AA) Reason | C. (AA) 理性 | ||
V. Certainty
& Truth of Reason 確実性と理性=合理性の真理 |
A. Observation as Reason | A.観察する理性 |
A.観察する理性——c.人相学と骨相学(樫山訳 pp.350-396)SKumano_hegel_craniology.pdf |
B. Realization of rational self-consciousness | B.合理的な自己意識の実現 |
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C. Individuality | C.個的性 |
||
(BB). Spirit | (BB).精神 | ||
VI. Spirit | |||
A. Objective Spirit: the Ethical order | |||
B. Culture & civilization | |||
I. World of spirit in self-estrangement | |||
II. Enlightenment | |||
III. Absolute Freedom & Terror | |||
C. Morality | a. The Moral View of the World | ||
b. Dissemblance | |||
c. Conscience: The “Beautiful Soul”:Evil and the Forgiveness of it | |||
(CC). Religion | |||
VII. Religion in General | A. Natural Religion | ||
B. Religion as Art | 芸術としての宗教 |
||
C. Revealed Religion | 啓示宗教 |
||
(DD). Absolute Knowledge | |||
VIII.Absolute Knowledge | |||
***
リンク
文献
Hegel portrait by Jakob Schlesinger 1831
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