人類学を発動させる:Anthropology in Action
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ストリート・チルドレン、経済のグローバリゼーションにともなう対外債務の増大や失業、人為的破壊によ る熱帯林の消失、民族問題と内戦、難民と多国籍軍による軍事行動、民族紛争後の責任者の処罰や「和解」の問題など・・・。
地球上で起こっている、このような社会的苦悩に関するさまざまな事象の情報はいまや瞬時にわれわれの手 元にはいる。そのような悲惨で頭を抱えたくなるような地球規模の問題に対して、われわれはどのように考え、どのように行動すべきだろうか、そして、われわ れが起こしている行動が、さらにどのような社会的効果を生むのだろうか。
この授業は、地球で起こった/起こっている/起こりうる、さまざまな社会問題についての取り組み方につ いて、具体的な課題(=事例)を検討し学びます。
担当教官が提供できうる実践的知識は、おもに文化人類学によるものです。文化人類学が上記のような問題 解決に寄与できる可能性は少なくありませんが、しかし万能ではありません。文化人類学は、学説上の発展からも、他領域の諸科学を必要に応じて横断的に利用 し、またそれらの科学から大いに触発されてきました。これは実践的応用の演習(レッスン)です。授業では、ある特定の課題に対してどのような解決を見つけ だすのか、グループによる討論と発表、さらにグループ間の論争実習を主とするワークショップ形式でおこないます。
カリキュラム(モデル)
メニュー:
参考文献:
池田光穂『実践の医療人類学』世界思想社、2001年;医療人類学研究会『文化現象としての医療』メ ディカ出版、1992年[以上は、医療ならびに医療援助に関する参考文献です]。これ以外の参考文献は、jyugyo.html をポータルとするウェブページで紹介していきます。
成績評価:
(1)出席点、(2)ワークショップグループにおける寄与(構成員による相互評価)、ならびに(3) 課題研究のレポートの、相加平均。
備考:
授業は、講義、ビデオの視聴、グループによるワークショップ形式でおこないます。受講に際して特別の 資質は要求されませんが、成績にはワークショップにおけるイニシアチブを取ることなどがプラスの評価がされますので、上記にある内容の概略に書かれてある 趣旨をよく理解し、納得した上で受講決定をされること学生にはおすすめします。
【もともとの授業】
集中講義 前期A(大阪大学大学院人間科学研究科):<行動する人類学> 池田光穂
国際協力・国際理解特講 Iernational Cooperation
■授業日程(→カリキュラム参照) 2001年実施のプログラム
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             7月2日 (月)  | 
            テーマ(1):ストリートチルドレン
             レクチャーと映像資料  | 
            テーマ(2):ストリートチルドレン
             討論と総括  | 
            テーマ(3):対外債務
             レクチャーと映像資料  | 
          
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             7月3日 (火)  | 
            テーマ(4):対外債務
             討論と総括  | 
            テーマ(5):環境破壊
             レクチャーと映像資料  | 
            テーマ(6):環境破壊
             討論と総括  | 
          
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             7月4日 (水)  | 
            テーマ(7):内戦1
             レクチャーと映像資料  | 
            テーマ(8):内戦1
             討論と総括  | 
            テーマ(9):内戦2
             レクチャーと映像資料  | 
          
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             7月5日 (木)  | 
            テーマ(10):内戦2
             討論と総括  | 
            テーマ(11):人類学を発動する
             レクチャー  | 
            テーマ(12):人類学を発動する
             討論と総括  | 
          
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             7月6日 (金)  | 
            テーマ(13):総合討論a | テーマ(14):総合討論b | テーマ(15):総合討論c | 
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           12月2日 (月)  | 
          テーマ(1)
           人類学を発動する: 総論  | 
          テーマ(2)
           ストリートチルドレン: 映像資料とレクチャー  | 
          テーマ(3)
           ストリートチルドレン: 討論と総括  | 
        
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           12月3日 (火)  | 
          テーマ(4)
           対外債務と世界経済: 映像資料とレクチャー  | 
          テーマ(5)
           対外債務と世界経済: 討論と総括  | 
          テーマ(6)
           環境汚染と日本社会: 映像資料とレクチャー  | 
        
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           12月4日 (水)  | 
          テーマ(7)
           グアテマラの政治暴力: 映像資料1とレクチャー  | 
          テーマ(8)
           グアテマラの政治暴力: 映像資料2とレクチャー  | 
          テーマ(9)
           グアテマラの政治暴力: 討論と総括  | 
        
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           12月5日 (木)  | 
          テーマ(10)
           悪を告発する: 『スペシャリスト』 エイアル・シヴァン監督  | 
          テーマ(11)
           悪を告発する: 『水俣』  | 
          テーマ(12)
           悪を告発する: 討論と総括  | 
        
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           12月6日 (金)  | 
          テーマ(13)
           総合討論a  | 
          テーマ(14)
           総合討論b  | 
          テーマ(15)
           総合討論c  | 
        
人類学を発動させる:文化人類学と問題解決アプローチ
結論
ひとつ:偉大な子供(グレート・キッズ)になろう
ふたつ:やりたいことを優先せよ
みっつ:偽善者であることやめる
私が用意する結論はきわめて単純なものである。
まず、どのような立場をとるか、について
1. <大人>ではなく<子供>の立場で
2. <専門家>ではなく<非専門家=素人>の立場で
3. <援助者>ではなく<被援助者>の立場で
4. <強者>ではなく<弱者>の立場で
5. <男性>ではなく<女性>の立場で
6. <提供者>ではなく<受益者>の立場で
つぎに、人類学の発動のやり方として
7. 誰でも最初は素人だ。だから、どんなところからはじめてもよい
8. やりたいことをつねに<意識化>する
9. 必要と思われるところをさらに展開せよ
10. おもしろくなれば、誰でもハマる
11. ある程度蓄積したら、その道の専門家に意見を聞け(ただし2.を忘れるな!)
12. ものおじせずに発言を
13. 汝の信じるところを為せ
最後に、生きることと人類学について
14. 知識を認識のために道具化するだけでなく、生きるためにも活用せよ(→理術の 行使)
15. それが正しい/悪いと思えば、その時から、それに対して態度を改めなさい。