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ディスコミュニケーションとコミュニケーションデザイン

「ゴッフマンと情報公開とミートホープ事件」

Goffman and the Food Fraud Scandals[縮小版]


池田光穂

テーマ:"Goffman, Information disclosure, and MEATHOPE CO. "

オリジナル展開版はこちらです

今日は、あるコミュニケーションが破綻し た状況(=ディスコミュニケーション状況にある時)に、その状況におかれた行為者がどのように状況を修 復してゆくのか(=行為者による新規のコミュニケーションデザイン)について考えたい。

取り扱う資料は多く、議論も一見複雑そう に見える。しかし受講生(院生・学生・社会人)は、本授業の教師が提供する資料の山が、いくつかの「単 純な論理」の偽装(camouflage)であることを見抜けば——学生の評価とは裏腹に教師の業界では授業に大量の資料を配布する者は未熟であると言わ れる——それほど難しくない。

いくつかの「単純な論理」とは、(1)一 般的に社会集団は情報を統制するという性質をもつと長年のあいだ指摘されてきた。(2)現代の社会では 組織の情報公開は、その信用と組織内倫理を保証するために有効であり、また場合によっては不可欠だと言われている。(3)秘密の暴露はしばしばスキャンダ ルになるが、その重大さは秘密がもつトンデモなさ(eccentricity)よりも疑念が抱かれていた内容への類似性(fusibility)に相関を もつようだ、という3点に集約される。

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【課題】

[問題1]

[問題2]

社会学的現実:〈情報統制に関するゴッフ マンのテーゼ〉

「どんなチームでも、そのチームのパ フォーマンスがつくりだす状況の定義を維持することをもって、あらゆる目標に優先する目標としている。この ような姿勢は、いつかの事実についてはコミュニケーション過多になり、他の事実についてはコミュニケーション過小を生じる。パフォーマンスが演劇化してい るリアリティの脆弱さとそれについて必要とされる表出的整合性は不可避である以上、パフォーマンスの進行中、もしそれらに注意が向けられれば、そのパ フォーマンスが人に抱かせている印象を混乱させ、そのパフォーマンスへの不信を招き、あるいは、そのパフォーマンスじたいを無用にするかもしれない事実が 存在する。このような事実は〈破壊的情報〉(destructive information)を提供するといってよかろう。以上のことから、多くのパフォーマンスにとってのひとつの基本的問題は、情報統制 (information control)の問題である。すなわち、現にオーディエンスに対して定義が行われている状況に関する破壊的情報を、オーディエンスに渡してはならないの である。言いかえれば、チームは秘密を保持し、その秘密を漏らさないでおかねばならない」(ゴッフマン1974:164 ただし訳文は変えた)。